愛とかそういうの

とある俳優が好きだ。Tとしておく。舞台俳優で、Twitterのフォロワーは4.6万人程度。いわゆる2.5次元俳優。最近は2.5次元俳優の映像進出も目覚ましいが、彼は中堅あたりだと思う。

 

他にも何人か好きな舞台俳優がいる。私は舞台俳優の沼に入ってまだ1年半ほどなのだが、見る目がないのかと思うほどついていない。

 

1人目の俳優は女性関係ですっぱ抜かれて舞台を降板に追い込まれ、表舞台から消えてしまった。とてもショックだった。彼は私が初めて見た、そしてTに出逢った2.5次元舞台の、座長だったのだ。何年もその役を演じてくれていた分、安定感もあって素敵だなと思っていたし、何より顔が好きだった(身も蓋もない面食い)。なかなか目も当てられないことが記事には書かれていたようだが、真実は闇の中。何を信じたらいいか分からない。本当に悲しくて、今でも彼のことを友達との話題に出す。

結論としては「女を殴っていようが何だろうが、顔が好きという事実は変えられないから堂々と○○の『顔が』好きと言って行こう」ということになっている。

 

2人目の俳優は女優との恋愛関係にあったことを公表せざるを得ない状況になったが、女優側の方が全国的に名の売れた人だったため、売名行為などと非難された。そしてこれまた嘘か本当か分からない、聞くに堪えない話が記事に書かれ、精神的にやられて現在は活動していない。涼しげな顔立ちで優美な役がよく似合い、仲の良い俳優との絡みも好きだった。最近はストレートの舞台にも多く出ていて、舞台俳優として躍進していたのが嬉しかった。

すっぱ抜かれて叩かれて消えていくのは2人目だったから幾分立ち直りは早かったが、それでも傷の深さ自体は変わらない。

 

3人目は、これは別に非難されるべき話ではないのだが、結婚したのだ。2.5次元俳優はテレビドラマにでるような俳優よりも知名度が低い分、ファンとの交流が濃く、ソロイベントではお話会があったりツーショットを撮れたりするアイドル的な面がある。だからこそ30代に入っても独身の人が多いのだが、2021年の年末は突然の結婚ラッシュであった。そしてそのラッシュの皮切りになったのが彼である。

おめでたいのに、遠くに行ってしまったという感覚。神様に愛されたとしか思えない常人離れした美貌の彼にも、結婚という卑近(というべきか)な制度が適用されたという驚き。よりによって私の好きな俳優がスタートダッシュをしなくても…という他の俳優ファンへの嫉妬。

いやあ何とか吹っ切れて、先日はイベントに行ってツーショットも撮りましたよ。優しくてかっこよかったですね。ははは。

 

思えばテレビに出ている俳優やアイドルしか知らない時代から、あまりついていなかった。

顔がいいと思っていたジャ○ーズは大麻を持ってたし、某俳優は不倫をしていた。

そうそう、年末に認知したジュニアの子は、これまた女性関係ですっぱ抜かれて退所していた。推していたわけじゃないのだけれど、こうなるともう自分の芸能人の趣味が禍(わざわい)の根源のような気がしてくる。いや、結婚は全くもっておめでたいのだけれど、心のショックという意味で。

 

さて、こんな感じで舞台を見始めてから超特急で心をずたずたにされてきたが、その度に一番好きな舞台俳優Tのことを考えた。

Tが女を殴っていたら?違法所持をしていたら?そのことを記事に書かれたら?

最近もTが出演している舞台を見に行ったが、やっぱり好き。どうあがいても好き。大きくて訴えるような目も、低い声も、人懐っこい話し方も、全部好き。舞台でダンスをすれば映える大きな手、他の人より深く落とす腰、全体にメリハリのある動き方。Tにしか目がいかない。視線が吸い寄せられる。

こんなに好き好き、と言える相手はそうそういない。同時に、これほど私を幸せにしてくれた人も稀有である。Tの画像を見た時間、舞台や円盤を観劇した時間、観劇の行き帰りの高揚感に溢れた時間、インタビュー記事を読んだ時間、友達にTのことを語った時間…数えきれない時間を幸せにしてもらっている。

何をしていても、どんなことが裏であっても、手のひらを返して責め立てることなんか私にはもうできない。何も語れない。ただ、Tがこの先もどうか幸せで在ってくれることを願うしかない。

 

だから「何があろうとも、これまで幸せにしてもらった時間を忘れたり、なかったことにしたりしないし、人が変わったように貴方を詰ったりしないよ」という意味を込めて「T、愛してるよ。いつでも愛してる。この意味が伝わるかなあ。」と近ごろ言ってしまう。

先日行った舞台ではこれが最後になったって構わない、後悔しないぞという心意気でペンライトを振り、うちわを振った。

愛しているよ。